「わぁ!すっごいね!」

「どれもうまそうじゃのぅ…」



さっき、ケーキを食べたばかりだっていうのに、私のお腹は並べられたおばんざいを見てぐうと鳴いた。



「この素朴な感じがよろしやろ?」

「そうだね、家庭料理って感じが良いね。」



おいしいケーキを食べてゆっくりとお茶を飲み、それから私達は慎二さんと合流して、今度は慎二さんのおすすめのお店に向かった。
そこは庶民的な小料理屋っていうのか、気取らない感じのお店で、でも、お店のセンスは良くて、落ち着ける雰囲気のお店だった。



「どれにする?」

「う~ん…こんなにあると迷っちゃうね。」

「そうだよねぇ…どれもおいしそうだし…」

私達は並んだ料理を見ながら、それぞれに好きなものを選んだ。



「ひかり、ずいぶんたくさん選んだんじゃな。」

「だって、どれもおいしそうで決められなかったんだもん。」

「どれもこれもほんまにおいしいで。」

慎二さんの言う通り、本当にどの料理もおいしかった。
上品な味付けで素材の味が生きてるし、かといってあっさりしすぎてるということもない。



「おおこう…やない。
KEN-Gさん、どないでっか?
お口に合いましたか?」

「あぁ、とてもうまい。
慎二は良い店を知ってるんじゃな。」

「そら、良かった。」

慎二さんが来てくれるとやっぱり違う。
場が盛り上がるっていうか、和むっていうか。
シュウさんもほんのわずかだけど陽気になるっていうか。
慎二さんの冗談に、明るく笑ってる。



(笑顔もカッコイイんだよなぁ…)



はっ!



思わず見とれてしまってる自分に気付いたら、急に顔が熱くなってきた。

なんでこんなにドキドキしてるんだろう?
私には純平君っていう大切な人がいるのに…



(なんで、こんなに…)