「え?美幸ちゃんが?」

「そうなんだ。野々村さんも確かにいたけどKEN-Gも一緒にいたんだ。
それに、迎えに来た車に乗ってたのはなんとあのホスト…」

「あのホストって?」

「ほら、カズと別れてから、亜理紗と付き合ってるって噂のあったあの…」

「あぁ…」

「美幸ちゃん、助手席にすわってたよ。
なぁ、このことはカズには言わない方が良いよな?」

「そりゃあ……」



「誰に言わない方が良いんだって?」



「か、カズ!!」



二人は、俺のことをまるで幽霊でも見たような顔をして突っ立っていた。



洗剤を買いに行ったアッシュの様子がなんだかおかしかったんだ。
しかも、アッシュはそれとなくマイケルを呼び出して…
その態度がとにかくおかしかったから、俺はこっそりとふたりの様子をうかがった。
そしたら、予想もしてなかったことを聞いてしまったってわけだ。



「アッシュ…もう一度話してもらおうか?」

「カズ、何、怖い顔してるんだよ。
なんでもないんだよ。」

「美幸が誰と会ってたって?」

「だ、だから…
そりゃあ、確かに美幸ちゃんはKEN-Gと一緒だったよ。
でも、美幸ちゃんが野々村さんと待ち合わせしてる時に、たまたまKEN-Gと会ったってことだって考えられるじゃない。
だって、ご近所さんなんだから…」

アッシュの奴…本当はアッシュだって、わかってるはずだ。
最初から美幸は大河内さんと会うことになっていて、ただ、俺があんまり大河内さんと仲良くするなって言ってるから、隠して行ったってことを…



「だったら、それでも良い。
だけど、ホストの車に美幸達が乗り込んだっていうのはどういうことだ?
しかも、美幸は助手席に座ったんだろう?」

俺が問い詰めると、アッシュは苦虫を噛み潰したような顔をした。