なんといえば良いのかわからなくなって…
私は曖昧に笑って誤魔化した。


「まったくもう困った人だよ。」

「と、とにかく、今は深くは考えなくて良いんじゃないですか?」

「だけど…」

「なにかあるんですか?」

「だって…ほら…私は一応純平君とつきあってるわけだし…」

「え?」

ひかりさんの口から純平さんの名前を聞くと、なんだか妙に心が痛む。



「そ、そりゃあ、純平君は遊びかもしれないよ。
でも、一応…私達は付き合ってるわけだから…
だから、本当は他の男の人のメアドとか電話番号を登録したくないんだよね。」

「そ、そうですか…」

ショックな言葉だった。
純平さんには悪いけど、でも、やっぱりひかりさんの運命のお相手はシュウさんなのに…
この世界では、そうはいかないんだろうか?
記憶を失ってしまった時点で、やっぱりひかりさんとシュウさんは別れてしまう運命だったんだろうか?



「でも、そうも言えないことはわかってるんだ。
これから先だって、おじいさんと遊びに行くことはあるだろうし、おじいさんはシュウや慎二さんのこと気に入ってるから、一緒に…ってこともあるよね。
それでこその連絡網なんだろうけどね。」

「そ、そうですよ。
だから、ひかりさんも深く考えることありませんって。」

「……やっぱりそうかなぁ。」

「そうですよ。
そ、そんなことより、あさってはどんな服装で行かれるんですか?」

「服装?特に考えてなかった。」

「わ、私、どんなの着て行ったら良いかしら?」

話題を変えたかったから、私はそんなどうでも良いことを口走った。