「そ、そんな……」

「そんなやないで。
純平さん、えらい落ちこんどったで。」

「だ、だって……私、そんなつもりは……」

「そんなこと、俺かてようわかってる。
そやかて、それを俺が弁解してもあかんねん。
ひかりちゃんの口から、はっきりゆーたげて。
とにかく早くやで!今すぐや!
ほな、よろしゅうに!」

「あ…慎二さん!」



言いたいことだけ言って、慎二さんからの電話はすでに切れていた。
慎二さんはあんな風に言ってたけど……でも、そんな……
もし、慎二さんの勘違いだったら、はずかしい……



(でも、本当だったら……)



迷いはあった。
だけど……



私は、純平君に電話をかけた。
呼び出し音が鳴った途端、切ってしまいたくなったけど、勇気を振り絞ってその想いを振り払った。



「……はい。」

聞こえて来たのは、さっきとはまるで別人みたいに沈んだ声。



「あ、純平君…?」

「うん。」

「……あの……さっき、慎二さんから電話もらったんだけど……」

純平君はそれに対して、なにも答えない。



「あの…さっき、慎二さんのこと、明るいとか楽しいとか優しいとか言ったのは、それはただの印象で……あの……だから、好きとか気に入ったとかって意味じゃないから……」

「いいよ、そんな無理しなくても……」

「無理じゃないよ!
だって、私が好きなのは純平君だもん!」

「え……」

「あ……」



わ、私ったら、な、なんてことを……



「ひかりちゃん……今、なんて言ったの?」

「え……だ、だから……その……」



ど、どうしよう……
私ったら、突然告白してしまってる……



「ひかりちゃん…お願いだから、もう一度はっきり言って……」

「え……っと……」

純平君…どうしてそんなことを言うの?



(も、もしかして……)



「わ、私……じゅ、純平君のことが…す、好きだから…!」

言ってしまった。
なりゆきとはいえ、私は、本心をはっきりとぶちまけてしまった。
生まれて初めての告白にしては、ムードもなにもないこんな状況で……



「ひかりちゃん……それ……本当!?」

「本当よ!」

「ありがとう!ひかりちゃん!
僕も…僕も、前からひかりちゃんのことが大好きなんだ!」