『純平君から、たった今、お話聞きました。
名刺は捨てますし、メールも二度としません。
ごめんなさい。m(__)m』



消そうとして画面に読み出してはなんとも言えない気分になり、そして、メールを削除することなく、画面を閉じる。



(なにやってんだ?)



自分自身の愚かさに苛々としたものを感じた。
俺は、一体、何度こんな馬鹿げた行為を繰り返してるんだ?

なぜ、消せない?
見る度にいやな気持ちになるメールなんて、消してしまえば良いじゃないか。
高見沢大輔からのメールなんて、ろくに読まずに削除したのに……
差し出し人は、特に綺麗でも魅力的でもないあいつ…ひかりだぞ?
なぜ、こんなに躊躇する……?

その理由がわからないことが、俺をますます苛々させた。



純平の話によれば、本当のことを話してもあいつはさほど凹んでもいなかったらしい。
そんなことじゃないかって思ってたって言ってたらしいが……
それはきっと俺に対してあんまり関心がないからだろう。
俺のことを気にしてたなら、純平からあんな話を聞かされたらショックを受けるはずだ。

それじゃあ、俺は気にもされてないあんなしたたかな女のことを一方的に引きずってるってことになるのか?
たとえ、それが恋愛感情じゃないにしても……



そう考えると無性に悔しくて、俺はまたひかりからのメールを開いた。
今度こそ削除してやる!
そう思うのに、俺の指はすんでの所で力が抜けて……



(畜生……!)



『なにもおまえが謝ることなんてないだろ。
間違えて名刺を渡したのは俺の方なんだから。
名刺はともかく、メールは好きな時に送ってくれて良い。
まぁ、俺に用事なんてないかもしれないけどな。』



怒りともなんとも作れない感情が爆発し、俺はそんなメールを送信していた。




「……くっ。」

俺は唇をきつく噛み締めた。
自分で自分をコントロール出来ないなんて、一体どういうことなんだ!?



あいつのせいだ……
ひかりが、俺の調子をすっかり狂わせている…!!