「ひかりちゃん……?
どうかしたの?」

「……なんでもない。
シュウさんのことはわかったから…じゃあね。」

「あ、ひか……」

純平君は何か話してたみたいだけど、私は構わずに切った。
なんだか、悔しくて……悲しくて……
とてもじゃないけど、愛想良く話すことなんて出来ないもん。



あ、シュウさんにも連絡しとこう……



『純平君から、たった今、お話聞きました。
名刺は捨てますし、メールも二度としません。
ごめんなさい。m(__)m』



私が謝る必要なんて、きっと、ない。
だって間違えて名刺を渡したのは、シュウさんなんだもん。
そんなことはわかってるけど、ごめんなさいって書いたのは、ちょっとしたあてこすりだったのかもしれない。



それからさっき登録したばかりのシュウさんのデータを消した。
名刺も思いきってさくっと破り捨てた。

言われた通りにしたよ……
これで良いんでしょ?



空しい気持ちは胸いっぱいに広がって……



ついには、我慢し切れなかった涙がこぼれた。



私が馬鹿だった……
ホストクラブと私なんて、普通じゃどう考えても接点なんてないよね。
あんな煌びやかな世界に、私みたいな地味な女の子が似合うわけない。
そんなことわかってたはずなのに、なに、調子に乗ってたんだろう?
無理しておしゃれなんてして……




自分が哀れなピエロに思えた。



……もうやめよう…
これからは、あんな所に行くのはきっぱりやめる。
お金の面でだって、おじいさんに迷惑をかけてたんだもん。

せっかく兄さんにいろいろ買ってもらったけど、無駄になっちゃったな……
やっぱり、私に可愛いものなんて似合わない。
もう背伸びするのはやめるよ……