「えーーーーっっ!!
シュ、シュウさんからプライベートの名刺を……!
す、すごいじゃないですか、美幸さん!」

野々村さん…驚き過ぎだってば…!



「ねぇ……なんでだと思う?
シュウさん、なんで私なんかにプライベートな名刺をくれたんだと思う……?」

「そんなの決まってるじゃないですか!
美幸さんはシュウさんに気に入られてるんですよ!」

「ま、待ってよ、野々村さん……
そんなこと、あるわけないじゃない。
あのシュウさんが私のことなんて……」

「だって、現にシュウさんはプライベートの名刺を下さったんですよ!
その前に、お宅までわざわざ送って下さること自体、そうそうあることじゃないんじゃないかしら?
それで、シュウさんには何か連絡はされたんですか?」

「ま、まさか……」

「送ってもらったお礼もですか?」



(あ……)

そんなこと、考えもしなかった。
でも、言われてみればそのくらいしといても…いや、しとくべきことだ。



「美幸さん……もっとご自分に自信を持って下さい。
美幸さんは絶対にシュウさんに気に入られてるんですよ!
間違いありません!」

「そんなことないよ!」

自分でも驚く程、大きな声を出してしまった。
言われてることは嬉しいっていうか、光栄なことだけど、でも、まともに考えてそんなことがあるわけない。
だって、シュウさんはあんなに格好良くて、それに引き換え私は……
それに親しく話したことだってないし、シュウさんが私を気に入る要素なんて一つもない。
それなのに、なんで野々村さんはそんなことを言うの?
まさか、私を馬鹿にしてる?
……ううん、野々村さんはそんなことするような人じゃない。
じゃあ、野々村さん…本気でそんなこと思ってるの?



「美幸さん……私……」

「ご、ごめん。私こそ大きな声を出しちゃって……
シュウさんがどうしてそんなことするのかわからなくて、それで、私……」

「ええ、わかります。
……でも、こんなことはご本人には聞きにくいですし……
しばらく様子をみられてはいかがでしょう?」

「……うん、そうだね……そうするよ。
野々村さん、いつもどうもありがとう。」



その通りだ。
こんなこと本人に聞けるはずもないんだし、気を揉んでも仕方ない。
絶対にそんなことはないと思うけど……万一、シュウさんが本当に私のことを気に入ってるんだとしたら、そしたらきっとなにか動きがあるはずだもんね。