「……住所。」
「え?」
低くて小さな声がたしか今「住所」って言った。
私が、恐る恐るシュウさんの方を見ると、シュウさんは前の座席をあご先で指し示す。
あぁ…ナビがあるから住所を言えってことか……
でも、なんでそんな冷たい言い方……
「……住所。」
「あ、はい。」
さっきよりも厳しい口調で促され、私はぺらぺらと個人情報を話した。
それと同時に車は滑るように走り出す。
全く揺れない…快適過ぎる安定感。
あ、今頃気付いたけど、左ハンドルだ。
絵に描いたようなホストの車だ。
「大河内さんの近所なんだ?」
「は、はい。」
不意に投げかけられた問いに焦って答えると、また気まずい沈黙が続いて……
「……一人暮らし?」
「いえ…か、家族と。」
また沈黙……
シュウさん…もしかして、私のこと、嫌いですか?
お店ではもう少しは優しい口調だったような気がするんですが……
「あ、そこの角で停めて下さい。」
「……それ、何の石?」
兄さんに万一こんな車で帰って来た事がバレたらまずいから、私は少し手前で降りることにした。
曲がり角が見えた時に私がそのことを口にすると、ちょうど同時にシュウさんがなにか言って……
「え?石?」
そう聞き返したら、すでに車は曲がり角に着いて停まった。
「ここで良いんですか?」
「は、はい。」
私が答えると、運転してた若い人は車から降りて、ドアを開けてくれた。
「あ、ありがとうございました。」
シュウさんにそう言って車から降りようとした瞬間、シュウさんからなにかを手渡されて……
「じゃあ……」
「あ……」
ドアは閉じられ、すぐに車は走り去る。
どんどん小さくなっていく車を見つめながら、私はそっと掌を開いた。
そこにあったのは名刺。
この前もらったものとは違う……
(まさか、シュウさんのプライベートの…?)
ど、どうして?
ビックリし過ぎて、足がガクガクして来る。
でも、とにかく今は帰らなきゃ……
驚くのはそれからだ!
「え?」
低くて小さな声がたしか今「住所」って言った。
私が、恐る恐るシュウさんの方を見ると、シュウさんは前の座席をあご先で指し示す。
あぁ…ナビがあるから住所を言えってことか……
でも、なんでそんな冷たい言い方……
「……住所。」
「あ、はい。」
さっきよりも厳しい口調で促され、私はぺらぺらと個人情報を話した。
それと同時に車は滑るように走り出す。
全く揺れない…快適過ぎる安定感。
あ、今頃気付いたけど、左ハンドルだ。
絵に描いたようなホストの車だ。
「大河内さんの近所なんだ?」
「は、はい。」
不意に投げかけられた問いに焦って答えると、また気まずい沈黙が続いて……
「……一人暮らし?」
「いえ…か、家族と。」
また沈黙……
シュウさん…もしかして、私のこと、嫌いですか?
お店ではもう少しは優しい口調だったような気がするんですが……
「あ、そこの角で停めて下さい。」
「……それ、何の石?」
兄さんに万一こんな車で帰って来た事がバレたらまずいから、私は少し手前で降りることにした。
曲がり角が見えた時に私がそのことを口にすると、ちょうど同時にシュウさんがなにか言って……
「え?石?」
そう聞き返したら、すでに車は曲がり角に着いて停まった。
「ここで良いんですか?」
「は、はい。」
私が答えると、運転してた若い人は車から降りて、ドアを開けてくれた。
「あ、ありがとうございました。」
シュウさんにそう言って車から降りようとした瞬間、シュウさんからなにかを手渡されて……
「じゃあ……」
「あ……」
ドアは閉じられ、すぐに車は走り去る。
どんどん小さくなっていく車を見つめながら、私はそっと掌を開いた。
そこにあったのは名刺。
この前もらったものとは違う……
(まさか、シュウさんのプライベートの…?)
ど、どうして?
ビックリし過ぎて、足がガクガクして来る。
でも、とにかく今は帰らなきゃ……
驚くのはそれからだ!



