「いらっしゃいませ!ようこそ、ルーチェへ!」



二度目とは言え、エレベーターが開くと同時にイケメン達がずらっと並ぶ光景はかなりの圧倒感がある。



「まぁーーーっ!
なによ、KEN-G!
ここって、ホストクラブじゃないの!
ホストクラブは嫌いだって言ったでしょう!
私、帰る!」

「え……」



タカミーさんが突然怒り出したから、私はどうすれば良いんだろうと混乱した。
でも、どうして?
タカミーさんは男の人が好きなはずなのに……



「まぁまぁ、そう言うな……
ここは普通のホストクラブとは……」

おじいさんがタカミーさんをなだめかけたその時、あたりの空気が急にざわめいた。



「KEN-G、いらっしゃい!」

「おぉ、シュウよ。
また、遊びに濾させてもらったぞ。」



低く響きのある声と共に現れたのはシュウさんだった。
なんてすごいオーラなんだろう……
周りのイケメン達がかすんで見える。



「シュウ、今日は新しい友達を連れて来たんじゃ。」

「あ……」

おじいさんに背中を押されたタカミーさんの様子がなにかおかしい。
なんだかちょっともじもじしてるみたいな……ちょっと頬が赤いみたいな……



「高見沢大輔さんですね。
テレビでよく拝見しています。
今日は来て下さって、どうもありがとうございます。」

そう言って、シュウさんはタカミーさんの片手を力強く握り締めた。



「もう~っ!やだっ!
そんないかついフルネームで呼ばないで!
『タカミー』って呼んでちょうだい!」

……ん?
ついさっき、私、帰るって怒ってたんじゃ……?
タカミーさんの口調は穏やかで、顔には満面の笑み……



「わかりました。
じゃあ、そう呼ばせていただきます。
俺のことはシュウって呼んで下さい。」

「わかったわ。
シュウ…よろしくね!」

タカミーさんは、シュウさんの腕に自分の腕を絡めて密着する。
あぁぁ……だめだ。
もう完全に恋に落ちてる。
早いよ、早過ぎるよ!
まだ、会って何分も経ってないよ!
ぴったり寄り添って歩き出した二人の後を、私達は呆然と着いて行く。



「ひかりちゃん、いらっしゃ……ええええーーーっ!」

扉の近くに立っていた純平君が、急に大きな声を出した。



「な、なに!?」

「何って……ひかりちゃん?」

「え…?」

もしかして、純平君……私の顔を忘れたの?
ショックだ…いくら、毎日たくさんのお客さんが来るとはいえ、顔も覚えられてないなんて……