「あ……シュウさん、近々、ひかりちゃん達、お店に来てくれるみたいですよ。」

仕事が終わり、解散となった時、珍しく純平が俺に話しかけて来た。



「ひかりちゃんって……KEN-Gの知り合いのあの子か……?」

「そうです。」

今日の純平はなんとなくいつもより機嫌が良さそうに感じられた。



「おまえ……あの子とよく連絡取ってるのか?」

「いえ…少し前にメールを数回やりとりしたのと、今日、電話しただけです。」

「電話番号も聞いたのか?」

「え…ええ。名刺を渡したら、すぐに『今日は楽しかった』って返信があって、その時に電話番号も書いてあったんです。」

「……ずいぶん積極的なんだな。」

「そういうことじゃないと思いますよ。
ただ、少し警戒心は乏しいかもしれませんけど……
あ、それで、今回はまた新たなお客さんを連れて来てくれるようです。」

「そうか……それはありがたいな。」







(……ひかり……)



家に戻った俺は、漠然とあの子の顔を思い出していた。
いや、思い出すというのとは違う。
なぜなら、あの子のことはあの日以来、不思議と俺の心の中に残っていたから。

好きだとかそういう感情とは違う。
なのになぜだか気になってしまうのは…きっと、珍しいタイプだからだな。
ホストクラブに来る女達は大きく分けて二種類いる。
精一杯飾りたてて来るタイプとその逆のタイプだ。
ひかりは当然後者だが、その中でも取り立てて着飾らないタイプだ。



(印象に残るのも当たり前だな。)



それと、KEN-Gがあの子のことを特別大切にしてるのが気になる。
どういう知り合いなのか聞いても、孫みたいな存在としか教えてはくれないから、余計に気にかかるのかもしれない。
まさかとは思うが、隠し子とか…!?
今はどうだがわからないが、二十数年前なら…しかも、相手が若けりゃ子供は作れる。
少しも似てはいないが、似ていないから親子でないとは言いきれない。
あの子が母親似だってこともありうるんだから。



(まぁ、そのうちに暴いてやるさ。)