タカミーさんのメイクの腕は天下一品だもの。
美幸さんもきっと可愛く変身されるはずだわ。
素は悪くないんだもの。
それに元はといえばタカミーさんのおかげで……あ……



(美幸さん!私、良い事を思いつきました!)

(何?)

(その……)



KEN-Gさんの前で言って良いものかどうか少し迷ったけど……
今更、なんでもないとは言いにくくて、私は恐る恐る思い着いたことを話した。



(あ…あの、当日、タカミーさんも一緒に誘われてはいかがでしょうか?)

(え…?誘うって…タカミーさんをシュウさんのお店に?)

(そうです。)

(でも、ホストクラブだよ。
そんな所……あ!)

美幸さんが私の考えてることに気付かれたかどうかはわからないけど、普通の男性ならあまり楽しくはないホストクラブが、タカミーさんにとって楽しい場所だということは気付かれたと思う。



(美幸さん、もしかしたらタカミーさん、お店の中に誰かお気に入りが出来るかもしれないじゃないですか。
そしたら…青木さんからお気持ちが離れるかも……)

(なるほど、そういうことか~!
うん、それは良いね!
そしたら、もう兄さんのことを心配しなくて済む!
シュウさんのお店はカッコイイ人がいっぱいいるし、きっと……)

(なんじゃ、美幸はそんなことを気にしておったのか。
まぁ、確かにタカミーはずいぶんと和彦さんにご執心のようじゃが、和彦さんにはその気はないんじゃろう?)

(ないから大丈夫ってことはないじゃない?
そういうのって、急に目覚めたりするんでしょう?)

(そ、そういうもんかのぅ…?)

やはり、美幸さんは青木さんとタカミーさんのことをかなり真剣に考えてらっしゃるようだ。
不安をとりのぞくためにも、タカミーさんをお店に連れて行くのは良いアイディアだと思った。
だけど……心の奥底では、私も万が一そんなことになったら困るって考えていたのいたのかもしれない……

馬鹿みたい……
青木さんとタカミーさんがくっつかれようが、離れられようが、私には何の関係もないのに……
タカミーさんが青木さんから離れても、青木さんが私を見て下さるようになるはずなんてないし、お相手が女性だろうが男性だろうが、それで何かが変わるわけじゃない。



もう、よそう…こんなことを考えるのは……

私はお二人に気付かれないように、小さく溜め息を吐いた。