「もうーっ、美幸ちゃん!
どうしてコーヒーなんて持って来るのよ。
酔いが覚めちゃうじゃない!
私はもっと飲みたいのに……」

口ではそんなことを言われながらも、タカミーさんはコーヒーを飲まれていた。
どうやらタカミーさんはお酒にはあまりお強くないみたい。
だから、内心ではコーヒーにほっとされてるんじゃないかしら?



(……なんで私が叱られないといけないんだよ~
持って来いって言ったのは、兄さんなのに……)

(気にすることなんてありませんって。
ほら、タカミーさん…もう飲み干されてますよ。
本当はきっとコーヒーが飲みたかったんだと思いますよ。)

(……そうかなぁ?)



美幸さんは、不満そうな声でタカミーさんを見つめられた。



「そういえば、カズ…!
昨夜のブログもとっても良かったわ~
私のこと、あんなに誉めてくれてありがとう!」

「え…あ…あぁ……」

青木さんはもしかしたらまだ見てらっしゃらなかったのか、それとも、私がタカミーさんのことを誉め過ぎたせいなのか、曖昧な返事をして微笑まれた。



「私,前からあのブログ読んでたのよ。
いかにも素のカズって感じで、すっごく好感が持てるっていうか、可愛いっていうか……」

「そ、それは、ありがとう。」

「あ、そうだ!
今日の様子もぜひ書いてよ!
『今日は、タカミーが家に遊びに来ました』って感じで……
ねぇ、アッシュ!私とカズのラブラブショット撮ってよ!」

「え~~……」

アッシュさんは困ったような顔で、青木さんの方を見られた。



「タカミー…今度どこかの店で撮ろう。
家の中とかあんまりプライベートな画像は……」

「よく言うわ!
今までだって、けっこう家の中の画像使ってたじゃない。」

「あれは……」

「じゃあさ、そこに二人並んでよ。
アップで撮ったら、壁しか入らないから。」

青木さんはアッシュさんの提案に、渋々頷かれた。



(兄さん、ああ見えてけっこう押しが強い相手には弱いみたいなんだ。
あの分なら、マジでタカミーさんがお姉さんになる日も来たりして……
ええーーーーっ!そんなことになったら、また母さん達と揉め事になるんじゃ……)

美幸さんは小声でそう言うと、がっくりと肩を落とされた。