「そうじゃったのか…水臭いというのか、堅苦しい人じゃのう…
しかし、まぁ、和彦さんには和彦さんの想いもあるんじゃろう。
わしは何も言わんから、おまえさんも黙っておいたらええ。
それと、和彦さんが何を言おうと、わしには遠慮等せんでええんじゃからな。
これからも、遊んでおくれよ。
あ…もちろん、和彦さんには内緒でな。」

「おじいさん、ありがとう!」

おじいさんは少しも怒ることなく、快く許してくれたから、本当にほっとした。



「あの……それで、シュウさんのお店には近々行く用事ある?」

「馬鹿じゃな…
用などなくとも行きたいと思った時に行けば良いじゃないか。
もしかして……シュウのこと、気に入ったのか?」

「そ、そんなんじゃないよ。
あの…しょ…小説の取材みたいな…
最近、全然更新してないけど、シュウさん見てたら続きを思いつくかな…なんて。
そ、それに、純平君とはアニメの話で盛りあがったし…」

「そうかそうか…よし、また近いうちに三人で遊びに行こう。」

「ほ、本当!?」

きっと、あのお店はとても高くて、私の僅かなお小遣いで行けるような場所なんかじゃないと思う。
また、おじいさんと一緒に……しかも、ホストクラブに行ったなんてわかったら、きっと兄さんは激怒する。
兄さんに嘘を吐くのも辛いし、バレた時のことを考えるのも怖い…
でも……それでも、やっぱりもう一度行ってみたい。
シュウさんに会ってみたい。
だって、私の考えた主人公と同姓同名の人だもん。
興味がわくのも、当然だよね。



「じゃ、私、そろそろ帰るね。」

「えっ、こんなに早く?」

「昨日のこともあるし、バレちゃ困るから…
あ、二人はゆっくりしてて。
おじいさん、野々村さん、今日は本当にどうもありがとう。」

私は、二人をその場に残し、慌てて外に飛び出した。



(野々村さん…頑張って!)



想いを込めて、店の外から私は野々村さんに手を振った。