「野々村さん、ごめんねぇ…
変なこと頼んで…」

「いえ、大丈夫ですよ。
でも、なにかあったんですか?
やっぱり、昨夜遅くなってしまったから…?」

「そのことは、また後でゆっくり話すよ。
今日は話したい事がいっぱいなんだ!」



そう…
昨夜は言う機会がなかったし、帰ってからはすぐに寝てしまったからメールも出来なくて…
言いたくて言いたくて、うずうずしてることがあったんだ!







「おじいさん、こんなにいっぱい本当にどうもありがとう。
それに…私、行く前はすっごくいやだったけど、いざ行ってみたら楽しかったから、本当はこんなの買ってもらえる立場じゃないんだけどね。」

私達は買い物をすませ、いつものファミレスに立ち寄った。



「良いんじゃ。
ホストクラブからの招待は聞いてはおったんじゃが、わしはどうも気が乗らんでな。
だって、男ばかりの店じゃぞ。
若い男達が大勢いて、ただ騒がしい場所じゃと思うておったし、わしみたいな老人が行っても向こうも楽しくもなんともなかろうと思うてな。
じゃから、無視しとったんじゃ。
たまたまおまえさん達と会うたから、それならちょっとだけ顔を出してみるかと思ったんじゃし、そのおかげで……」

おじいさんは、そこまで話すと突然口篭もった。



「……どうかしたの?」

「え…あぁ、いや、なに…
昨日のことをちょっと思い出しただけじゃ。
ほんに、楽しかったのう…」

おじいさんはとても幸せそうな顔をして微笑んだ。
その笑顔はいつもの笑顔とは違ってて……なんていうんだろ。
どういえば良いのかわからないけど、とにかく心の底から満足したような輝く笑顔で…
そりゃあ、確かに楽しかったけど、おじいさんはいろんな所に行ったことがあるだろうし、他にも楽しかった所はたくさんあるだろうに、どうしてそんな顔するの…?
不思議に思ってると、ふと私の頭にひらめくことがあった。
……もしかしたら、おじいさんは私や野々村さんと一緒に行けたことが楽しかったって言ってくれてるの!?



(だから、こんなにたくさん買ってくれたの!?)