あたしの家庭は決して裕福ではなかった。

親は共働きであたしは一人っ子。

普段から人と関わることがすくないので昔から、友達は少なかった。

幼稚園の時から怖がりで人見知りが激しかったからみんなが怖く見えた。

幼稚園が終わるころ、必ず幼稚園の門には1人のおばあちゃんが立っていた。

そう、その人があたしのおばあちゃん。

あたしのこれからの人生の先輩で、誰よりも憧れの存在。

あたしは今までの人生で親と過ごす時間や友達と過ごす時間よりもおばあちゃんと過ごす時間が一番多かったかもしれない。

おばあちゃんはあたしの姿を見つけると優しい笑顔で

「ちいちゃん、こっちよ~」

と手を振ってくれる。

「おばあちゃん!!」

あたしは思わず笑顔になりおばあちゃんに飛び付く。

「お~元気だね~。今日も幼稚園楽しかったかい?」

「ん~…あ、おえかきしたよぉ!」

「ほんとにぃ!あらあら上手なこと!」

おばあちゃんが喋る一言一言にあたしはワクワクしながら話を聞いていた。

でも時々おばあちゃんは幼稚園のあたしには理解できないことをたくさん言った。

わからないと言えば

「いつかわかるようになるよ」

と決して答えは教えてくれなかった。