イセモノガタリ

さて。

敵がいる以上、こちらもそれなりの準備をしておかなければならない。

男は弓を持って戸口に座った。

背中には弓入れを背負っている。

「…はぁ…」

首を振って眠気を払おうとする男。

しかし疲れは溜まっており、大きく息を吐いて暗い空を見上げた。

「早く…朝、早く…」

そううわ言のように呟く。

耐えろ。

耐えろ自分。

今ここで眠って、その間に捕まったりしたら一生の公後悔になる。

眠気を必死で堪えていると、ぴかと空が光った。

どどーん。

爆音と共に激しく地面が揺れる。

「ぐっ…うわ…っ」

思わず地に足を踏ん張る。

目が一気に覚めた。