突然の申し出に、対応しかねる。


芽衣みたいなタイプ、そうそう出会えないから。

正直どう接するか困る。









「私、心実さんみたいになりたいんです」

「私みたい?」

「はい。彰吾がそう言ってたんです」

「彰吾が?」

「そうです。俺の好みになったら彼女にしてやるって」

「好みって……彰吾の好みは私じゃないよ」

「ええ?心実さんだと思いますよ。だって、彰吾の語る好みのタイプと心実さんって同じですもん」






不躾な芽衣の視線は、やっぱり慣れない。

ぐいぐいと近づく芽衣に息が詰まる。

至近距離で話される威圧感に
耐えられない。







「頑張って心実さんみたいにならなきゃ」

「それは、違うと思う。誰かの真似なんてダメだよ」

「なんでですか?あれですか?
心実さんって自分オンリーワンなタイプですか?自分と同じことをするのが許せない感じの?」

「違うよ。その、人と同じ事をしてもダメなの。自分は自分だし。貴方は貴方だし」


「あー。それ的な感じですか。すみません。
誤解される言い方でしたね。もちろん、
そんなことは考えてませんよ。
私は私ですから。

まず心実さんは外見からしてハンデがありますから。
私、可愛くないですもん。
性格は変えられても、外見はどうにもならないですからね。

でも、彰吾は顔で判断するような人間には見えないので」






自分のことを知り尽くしてるかのように
芽衣が笑う。


なんだろ。私、この子の笑い方。

すごく苦手。





「彰吾の前で心実さんみたいに振る舞って興味を引きつけます。そしたら、心実さんのいいところを吸収して成長する。

要は私のステップアップのための踏み台になってくれということです」


「……踏み台に」

「あ。言い方悪かったですね。ん〜。
私の恋に協力して下さいってことです」




恋の協力……。


そんなの……。





「って言うか。彰吾って心実さんのこと好きですよね」

「…………」

「心実さんって美人ですよね。だけど、
それだけですよね」





初対面の相手に。

しかも年下にそんなこと言われる筋合いはない。

私の気持ちも知らないで。




芽衣の一途さが、嫌い。


すごくイライラする。




私にもあんな強さがあったら。





悔しい。嫌い。