さらに。
晴太は哀しそうな笑顔で続けた。
「心実はさ、ハルって言う彼氏ができてもある人のことの方を大切に思ってる。
ある人の方を優先してた。
ある人の事ばかり見つめていた。
それは俺といた時も同じだよ?
ある人の事ばかり話してたよね?
誰だか分かる?」
誰だろ?
私そんなにその人のことが好き?
必死に考えた。
あっ、………。
頭の中にパッと浮かんだその人の顔。
整ってて。
綺麗で。
表情読み辛い事もあるけど。
笑顔がとっても眩しい。
………彰吾。
そんな私に察したのか。
「分かったみたいだね。
そうだよ。君が好きなのは彰くんだよ」
私、彰吾が好きなの?
「大切だからこそ気付かない。
好きだからこそ気付かない。
想いが大きいからこそ気付かない。
……そうゆうことってあるんだって。
きっと心実の中で、まるで
自分の体の一部の様になってた
想いだからこそ。
自分自身では気付かなかったんだ。
心実は無意識に、彰くんのことを
好きになってたんだよ」
大切過ぎて気付けない。
確かにそうかもしれない。
彰吾が自分から離れてしまった時。
すごく淋しかった。嫌だった。
一緒に居たかった。
隣に居たかった。
それが恋?
私の本当に好きな人……。

