「上野って、手フェチなの?」
「そういうわけじゃ……」
適当につい思いついたことを言っちゃっただけだし。
「じゃあ、何フェチ?」
「え……先輩フェチ?」
「え?」
ん?
またまた思いついた言葉をそのまま言ってしまい、かあああっと顔が熱くなる。
「い、いやっ、あっ、あのっ」
「ぷっ」
先輩は顔を真っ赤にして戸惑う私をみてクスクスと笑っていた。
そんで、わたしの頭の上にポンと手を置いて。
「ドジ」
なんて悪戯っぽく笑って言ったんだ。
そんな表情見せられたら……なんも言えないじゃん。
ねえ、先輩……私の気持ちに早く気づいた?
早く気づいて。
そんなことを思いながら、先輩に気持ちは伝えられなくて。
中学一年生の冬を迎えた。

