中学生と高校生の普段の接点は部活だけ。
でも、私にはもう一つあった。
接点と呼べるかわからないけど、水曜の4限目。
この時間は私も先輩も体育で、体育館でもグラウンドでも、唯一授業で先輩に会える時間だった。
この授業が終わるとたまに先輩が話しかけてくれて。
「上野、今日部活くるの?」
「いきますよ、当たり前じゃないですか」
「今日卒業した先輩が差し入れもってきてくれるらしいから、上野の分も俺がもらおうと思ってたのに」
「なんすかそれ!!」
「ははっ」
先輩の笑顔は爽やかってよりも、無垢って言葉がピッタリ。
少し癖っ毛で跳ねている髪は柔らかそうで。
触ってみたいな、なんて思いながらジッとみていると気づかれて「なに?」ときかれてしまった。
「え、えっと……て、手、綺麗だなって」
「は? 手?」
つい適当なことを言ってしまうと、先輩は不思議そうな顔をしていた。

