私と先輩が付き合いだしたのは、二年前。
私が中学一年生で、雅人が高校一年生のとき。

中高一貫の学校に通っていたため、出会いは学校。
でも、中学生と高校生が会う時間なんてほんのわずか。
きっかけだって、偶然部活が同じだっただけ。

部活は、演劇部。
劇の発表は中学生と高校生で分かれていたけど、練習場所はほとんど同じだった。
私も雅人も、主役というよりは、舞台裏のほうの仕事をしていて。
その中でも、先輩は衣装や髪型のセットなんかをしていた。

男の人が髪のセットをするのは、まだ中学一年生の私からしたらすごい珍しかった。
でも、一週間みてれば、わかる。

髪型のセットなんかは、先輩が部の中で一番早く上手だった。

ヒロインの女の子の綺麗な髪に触れるとき、宝物に触るように優しく丁寧で。
セットし終われば、ヒロインの女の子は嬉しそうに笑って、その姿は誰がみても一番の笑顔なんじゃないかって思うぐらいに綺麗で。


でも、そんな風に笑うヒロインの女の子よりも、

その笑顔をみて嬉しそうに笑う先輩の方が何倍も綺麗に見えたんだ。



男の人でも、こんなに綺麗に笑うんだって。
先輩に恋をしたのはそれからだ。