12月18日。
もうすぐクリスマス。
恋人たちにとっては、大きなイベントの一つだろう。そのために、クリスマスプレゼントを用意したりし始めるとき。

「ねえ、先輩」

「ん?」

新潟の寒い駅のホームのベンチで座る、私と彼、山本雅人(ヤマモト マサト)。
彼の足下には大きなキャリーケースと、リュックが置いてある。

「私に会えなくなって寂しい?」

「……全然」

「ふふっ、嘘だ。先輩って嘘つくの下手だよね」

「梓(アズサ)もね」

会話がない間が耐えられなくなったのがバレバレだ。

でも、お互い何を話していいかわからない。
先輩とつきあってもう二年も経つのに、こんなときどうしていいかわからないんだ。

「俺が東京いっても、勉強さぼるなよ」

「……わかってる」

わからなくて当たり前。
二年もつき合った大事な人が遠くに行ってしまうのだから。