「あのー…どうかしましたか?」

するとその人は顔をゆっくり上げた。

「あっ」

髪を染めてそのまま伸ばしたのだろう。

毛先は茶色くて
てっぺんは黒かった。

鼻はすらっと高くてまつ毛が長い。


時が止まったかのように
数秒間が空いた。


「あ、あの。コンタクトを
落としてしまって…」

彼はそう言うとまた床へを目を伏せた。