小学5年生、なりたての春



「ったく、おっせーなー

天....。」

天は、神崎天。空の双子。

空より頭イイし、かっけーし。

今時は俺の1番の親友。


そんな天を昼休み、待ってた

すべり台の下で


「そろそろ帰るか

昼休みムダだ」


と、つぶやいたとき


「ま、待って!」


どこからか声がした

そしてリーンゴーンとチャイムが鳴った


気の所為か、と思って歩き始めると


「お願い、待ってっ....」


今度は、泣きそうな声がした

振り返ると


だいぼく の上に登る

女がいた


「っつ、....」

びっくりして声も出なかった


目が合うともっと瞳をウルウルさせて

木にしがみついた


「かくれんぼしてて、

木登り、したら、


降りれなくなって....」

髪の毛がふわふわしてて

それが風にたなびいてて


「おろしてやる、から

ん。」

手を出すと


パァっと笑った


その顔は、2年経った今でも

脳裏に浮かぶ

ギュッ
「ぅわっ!?」


ドッシーーーンッ

差し出した俺の手を両手で握った彼女は

全体重をかけて、俺に抱きついて


そのまま倒れた。


「イテテテテ」

「ご、ごめんなさい!!」


少し、右腕を切った

擦り傷程度だけど


「だいぼく に登るとか勇気あるな」


「それより、ごめんなさい、....」


右腕を掴んで瞳をうるうるさせる


「大丈夫だって、

それよりあんたは....」

「私は全然....。

かばってくれてありがとう」


「良かった」

ふわふわな髪の毛が
なんか姫さんっぽかった

「良くないよ!....

保健室連れてく!!」

「〜いや、もうチャイム鳴ったし

戻らないと怒られんぞ」


「私におぶって!」

「ぅわっ、!?///」


そんとき、いきなりおぶられた

「わ、ばか、っ大丈夫だって///」

プルプル震える背中は小さいのに、

なんかかっこよかった


「しっかりつかまってて!」


それから保健室に行ってくれて、

手当された俺を見て


「守ってくれてありがとうっ」

って言った笑顔に


一目惚れって言うのかな

恋した


照れてばっかの俺に

「あ、もしかして同じクラス?」

「え?....」

「背の順1番前でしょ?」


それを指摘されたのにはビビったけど


「武内亮だよ、チビで悪かったな」


「武内亮?よろしくね、!」

手を差し出してきた彼女は、

笑いながら俺の名前を口にした


俺がギュッと握ったとき、

「私は、

高橋雷!かみなりって書いてらいだよ!」


そのとき、運命を感じた

Rがつく、生まれて初めてドキドキした女



ーそれからは、彼女のことで頭がいっぱいだった

もちろん今も。


6年で同じクラスになれて、

すんげー嬉しくて。

まさかの中1でも同じクラス。



でも、

ライバルはいっぱいいた


龍だろ、空。それに、瑞。


これから増える可能性はありまくりで。