「お久しぶり、心ちゃん♪」

カチャッ

と、サングラスを外す咲さん。



「お、お久しぶりです。」


高級そうなものばかり身につけた、露出度80%以上の服の咲さん。


「ちょうど夕食?

そのレモンパイー作ったの?」


テーブルに並べられた料理と、

私が手に持っていたレモンパイを見てつぶやいた


「レモンパイだけですよ」

「なんでレモンパイ?」


「この旅館の名物らしくて」

「これでアピールするの?信君に」


あ、アピールって....!?


「そんなんじゃありません!」


「でも、残念

信君ね、レモン嫌いなの」



えっ


ピーッ

そのとき、エレベーターが開いた

そして中から男子軍が出てきた



「すげーいい匂い。」

「俺、ギョウザ食う」


わきゃわきゃ話す男子の中に





レモンが嫌いって....。ほんと!?


「あ、咲」


「信君♪久しぶり!」

にこっと笑う笑顔がキラキラ


「本当に来たのかよ....。」

あきれ顔の信と目が合う



ーパチッ



「湯山、それー....」


私は、手に持っていたレモンパイを見ているのだと勘違いした

カァァァァッ
「ご、ごめん....///

レモン嫌いなんだよね、....っ」


なぜ、赤くなる、私。


「えっ、あぁ....///」

なんか信まで赤いしー


「ー....。」

何か言いたげな咲さん。



「ー、信君が

レモン嫌いってことも知らないの?」


咲さん意地悪すぎる〜。


「ご、ごめんなさい、私、知らー」

グイッ

「俺、好きだし。レモンも、....

それに湯山も」

へ?


いきなり、肩を寄せられた


う、....わ。///


ドキンッ


「え....?」


咲さんは、突拍子もない顔で言う


「好きって....」


「付き合ってるってことだよ」



そのとき、思い出される過去


〝俺と、付き合ってるフリしてよ〟

そうだ、わたし達 付き合ってることになってるんだった。


でも、嘘でも

ドキドキしちゃう。


「〜、なんなのそれムカつく」

咲さんはそう言って


エレベーターに乗っていった



「ふぅ、咲もあれで落ち着いただろ」

「ありがとう....」


「なんで?お礼言うのは俺だろ

ありがとうな」


ドキンッ

「ど、どういたしまして....。」


「レモンパイ、作ったの?」

手に持っていたのを、今度は指さした


「え?うん、....。

だけど嫌いなんだよね?

さっきのは、私をかばって言ってくれた嘘でしょ?

彼女が、彼氏の好み知らないなんておかしいもんね」


レモンパイを見つめて私がいうと



「これから知ればいいだろ 好みなんて」


ヒョイッとつまんだレモンパイを口に運ぶ、信


「えっ、ちょ」


「結構行けるじゃん。うまい」

モグモグしながら笑う



「ほ、本当?」


「本当に決まってんじゃん

それに、作ってくれたもんがマズイ訳ないだろ?」


ドキンッ


「ありがとう....///」


「え?おう....///」


そんなに褒めないで....。///