「龍っ、」

亮と、盛り上がってたとき、


後ろからこそっと呼ばれた


ヒソッ
「井野?どうした?」

グゥッ

無言で、体操服の裾を強く掴まれた


「体調不良?大丈夫か?」





グイッ


「ぅわっ!?」


俺が、井野の顔を覗いた瞬間

裾をすげー強い力で引かれて







「龍、ごめんね」



えっ?



涙が溜まりまくった目


「おい、どうし「私、キスしたの」は?」



き、す?


「ファミレスで会った日、寝てる龍に


キスしちゃったの。」



そう、俺はあの日寝てた


まじかよ?嘘だろ?


「おいおい、井野、冗談やめろよ」


「~、好きなの」

「え」



「大関なんて、最初からなんでもないの



龍が好きなの


雷ちゃんから奪いたいの」


ドクンッ



嘘、って言えよ



バッ


反射的に自分の唇に手が行く


「おま、....っ///」




「お願い、雷ちゃんのところに行かないで」

ギュウウウウッ



突然抱きしめられる


もちろん俺もふつーの男子なわけで

女子に抱きつかれるのとか慣れてません



「離せ、って///」


「ごめん....無理言って」

「でも、こーゆーのはもうやめろ」




「ーでも、さ、


雷ちゃんは嫌だと思うよ?


好きでもない他の女とキスしたオトコ」

ドクンッ



ポンッと浮かぶ高橋の顔






「おい、龍?アンカー回ってくんぞ!何してんだよ??誰かいんのか?」

「いや、今行くー....。」


亮の声に、我に帰った





「また後で」


井野の後ろ姿に


高橋への罪悪感しかない




別に付き合ってるわけでもねーし


でも、....



ゴシゴシゴシッ


「龍!?唇切れてんぞ!?何してんだよ!」


「な、なんでもねーよ....っ」

「ほら、速く行けよ」



亮に背中を押されて、


ゼッケンをきた



あ゙~、


俺、気持ちわりぃのかもしれねーけど



ファーストキスは高橋とって決めてたんだよっ....



泣いてやりてぇ。