「私、諦めないよ


だってかんがえてる時間さえも。


賢と一緒に居たいと思ってたの」




「虹....、」





私は、来てたの


気付いたら来てたの


病室に


傷つく事も現実も全て受け止めたのに


それでも、。賢に会いたかった



目の前に居る賢は

消えてしまいそうなくらいガリガリで




今すぐ抱きしめたかった






「虹、....

ありがとう」


ズキッ


哀しそうに、笑った



「でも俺、....無理だよ」

「私は、....平気!!!」


「俺が 無理なんだよ....


これ以上、泣かせたくない」



いつの間にかこぼれてた涙を


賢がベッドから手を伸ばし、拭いてくれた



「だってー....」

「俺、思うんだよ


もっと、いっぱい、いるだろ?


イイ男なんて」


ギュッ


「賢....」



抱きしめられた、手が


彼の手が震えてることに気付いた




「虹に似合う奴なんて


いっぱいいるだろ?


俺が、探してやるよ、な?」


ポタッ


「賢....それで、いいの?



私が、それでいいの?」



抱きしめられる手が強くなった



「........言い訳、ねーだろ?」



「私、



賢を困らせたくない

って思ってた


でも、賢をほっけない

こんな哀しそうな笑顔で。

こんな辛そうな抱きしめ方?





私、賢のこと好きだよ


ずっと、前から」



ポタッポタッ


ベッドに落ちる私の涙


「お願いー....。


傍にいるだけでいいの


居て、力になりたいの


お願いっー....」



お願い。






「俺も好きだ」


私の頬を挟んだ彼の両手は冷たくて


顔は、近くて



瞳は涙でいっぱいで

男の人って、こんなふうに泣くんだって思った

綺麗。って




「俺も、虹のこと

好きだよ」

ツゥーッ


頬をつたう涙を、

彼の袖が吸い込んだ



ピーッピーッピーッ




「賢!?!?!?」


「ぅ....あ....」

いきなり、目を細めてお腹を抑える、賢



「賢っ!?!?誰か!!!看護師さん!!!!!」


ギュッ


私が、走り出そうとした手を掴んだ賢



とても。苦しそうな顔

今にも



消えそうな顔