急いでナースコールを押す



まさか。じゃない

良く考えたら航はもう少し身長が低いし


抱きしめられたときの感覚

あれは、病院の服

賢がいつも身につけてここに寝ていた服




「賢....っ....」


なんで?

気付けなかった?


暗闇だからなんて理由にならない

好きなのに


すごく、好きなのに....。



「....なんで....」




タタタタタタタタタタッ


「虹ちゃん!どうしたの!?!?」


「看護師さん....」


私が振り返ると、

すごく驚いた目をして


「賢君....?!?!」


「さっ、き、廊下で会った人

航だと思ってて....


でも、よく考えたら、あれは


賢....」


ポタッ

涙なんて流してる場合じゃないのに



「と、とにかく虹ちゃん

航君に連絡してもらえる?

私は委員長に....。」


お願い、というセリフを残してまた走り出していった看護師さん


ピピピピピピピピピピピピピピ


着信中という画面に祈りを込めた


航、出て....


「もしもし、虹?」



「航....!!!」


「どうした?こんな時間に....」


電話のせいか

それとも、本当になのか


さっきの人とは全然違う声


「賢がいないの....。」


「まじかよ....!?いま、病院に向かう」


相変わらず冷静な航


「うん....」

「....賢、分かんねーけどきっと


お前に会いたがってる」


ポタッ


「うん....」



「大丈夫だよ

ぜってー見つかる」


「うん....!」



じゃあな で切れる電話





「賢....」


心も頭も全部

あなたが心配です。