保健室を飛び出して


一目散に走った



起きてすぐ走ったからか

くらっときた




「きゃっ....」

ギュッ



「バカヤロー 人の話聞けよ」



ハァッハァッ


息を切らしてる、航の腕の中




「....ー嘘ついてごめん

賢は、俺じゃない


俺は最初っから航だ」



「なんで、嘘をー....」



「それはっ....」



息詰まる航



「航はっ....」



後ろで胸を抑えながら口を動かす雪


「航はっ、虹ちゃんのためについたの

優しい嘘を!!!


賢さんが居なくなって、1番虹ちゃんを支えてくれたのは航のはず....」



そうだ、


あれは、航だ


ミントの香りも


両頬を挟むのも


頭をかく仕草も



それに、ずっと傍にいてくれたのも航




「ーー賢は....?」




「まだ眠ってる

小さい頃から重い病気でさ


虹のこと好きだって、

俺に賢になれって言って

その次の日からずっと、眠ったまま」



「賢っ....」


「お見舞い、行ってやってくれないか?」


航は張り裂けそうな笑顔で私を見つめる



「いって、いいの?」