先輩から来ていたメールは全部無視した




涙で腫れた目を冷やしながら朝練に向かう



絶えない男子の悪口


ドンッ

「あ....っ」


カシャーン


男子にぶつかり運んでいたボールのカゴを落としてしまった



「ちゃんと拾えよ」

「ボール汚っ」




慣れてる、慣れてる、


もう慣れたこんな事には




クラスでは、黒板にこう書かれていた


『藤田道は学先輩に色目をつかった女。キス済み。』


女子のヒソヒソ話


仲良かった子も、違うグループにいた




たまらず、私は


教室から飛び出していた



「はぁっはぁっはぁっ」

走った



「はぁっはぁっはぁっ」


走った


長い廊下を。


涙がにじんで鼻がジーンとする





なんで....?


なんで、私ばっかり....?



家も 恋愛も クラスも 友達も 部活も


全部、ボロボロだ



ドンッ


「いったいなぁ....」


ギロッ

睨まれた。



その人は


嵐。


私が、この世で一番嫌いな女ー....



「....なんだ、道ね」


当たった肩をはらうと


「涙でぐっちゃぐちゃ」


フッと笑った



殴りそうになった。


こいつを。



「....あんたに。何が分かんの?」



口が勝手に動くとはこーゆーこと



「....私の全てを踏みにじったあんたに
何がわかるっていうの!?!?」


グイッ


ジャージの襟元をつかんでた





カツーン


その途端、嵐のぽっけから落ちた


オレンジ色のチョーク



さっきの黒板と同じ

オレンジ色のチョーク




バシッ



手に衝撃が走った


左頬を抑える嵐



「いったいなぁ....


って言ってんだろ」




そして私は


私を睨む嵐の視線が揺らいで




ーーそして



床に倒れ込んでいた