次の日 「 姫様 」 テラスに出て月を眺めていると、ふいに聞こえてきた昨日の声。振り返ると、いつ間にきていたのか、テラスに置かれたイスに座って 笑って手をふっている彼がいた。 「あなたっ…!」 声をあげようとした私に慌てて、口を雑に塞がれる。 「…あっぶない」 ため息をついた彼は、「シーだよ、人が来ちゃうでしょ」って人差し指を口にあてて微笑んだ。