「科学者だって昔の人の日記を参考にすることだってあるの...」





「フロル姫ー」

私を見つけたら必ずお城の使用人達は近寄ってくる。
彼らの今の仕事は私をお城に届けることだから、来ないでと言っても、手を振り払っても、私に近づいてきてお城まで連行される。




この人だけでなくて、きっと沢山の人がこの街で私を探している。





たった一人のお姫様だもの。私。







疲れている使用人に引っ張られ、私は部屋へ押し込まれた。






…毎日同じような繰り返し。






…私は死ぬまでこんな生活を続けなくちゃいけないの?

それはもちろん"Yes"



私の自由を許す人がいるわけなくて、私には人を裏切ってまでお姫様と言う任務を逃げだす勇気もないから





大きな窓から小さなテラスに出て、今日もため息をつく。





「お姫様って、毎日お城で退屈よ。」







誰にも聞こえるはずのない囁きは、少し強い風にのって海の方へ飛んでいった。