本当は行きたいんだけどね。
お母様やお父様が、絶対に許してはくれない。
「やっぱり、ダメか」
笑顔と呼べない顔で彼は笑う。
「ねえ、姫様。沢山の国を知っているけど、こんな平和で美しい国は他にないよ!その国のお姫様なんて姫様はすっごい幸せ者なんだよ?
………暇そうだけど」
「一言余計よ。
幸せなことくらい、私でも感じてるわ」
本当に暇なのよ。
お仕事はまだ私になまわってこないのに、お城から出たらダメだなんて。
自由なはずなのに、全然自由じゃない!
「へえ。まぁ、話しきいて遠くへ行きたくなった?」
「嘘なの?」
彼と同じように質問する。
「僕は嘘つかないよ」
と、優しく笑う。
そんなことは、知ってる。
「……私にはこの国を出る勇気がないの。」
彼は優しく私の頭に触れた。
