はぁ、
はぁ、
はぁ…



私は靴箱に手をついて息を整えた。


ほんと、あれくらい走っただけで、我ながら情けないと思う。


思うけど、しんどい。


隣では剣人が息も乱さず空を睨んでいる。


『ご、めんね、私、が、どんくさい、から』


息も絶え絶えに謝ると、剣人は

『ここ、風が通るから寒いな。教室で様子みよ』

とスタスタと歩き出した。


あんな少しの時間で、体がびしょびしょになってしまった。


『う…
さ、寒い』


七月だというのに、濡れた体では急に寒くなってきた。


教室に戻って、持ってもらってた荷物を受け取るときになって初めて、
私は自分のブラウスが雨で透けて、ブラジャーまで丸見えになってることに気がついてしまった。


う…うわ…
どうしよ…



とりあえず、謝っとこ…


『お見せ苦しいものを見せてしまい、申し訳ありません』


『は?なにが?』




もしかして、気付いてない?

い…言わなきゃ良かった!!


『…ジャージとかねぇの?』




剣人の言葉にパッと顔を上げる。


『いいこと言うじゃん!剣人くん』


そして、次の瞬間…

『そういえば、昨日、洗濯のために、持って帰りました…』



あぁぁぁぁぁぁ……


もう、やだ。



寒いのと、
透けたブラジャーを見られたくなくて、
私は両腕で体を包むようにしてしゃがみこむ。