その日の放課後、
篤史たちとダラダラと下らないことを話しながら帰ってきた俺は、帰るとすぐにシャワーを浴びていた。


また五月だというのに、ここのところ、毎日暑い。


シャワーを浴びて、いつものようにトランクスだけはくと、頭をタオルで拭きながらリビングに入った、その瞬間。


甘い香りがして、母さんがケーキを焼いたんだな、なんて思うのと同時に、ダイニングテーブルで今まさに、大きな口でそのケーキを食べようとしているすずに気がついた。




『あ…あ…あぁ…あぅぅぅぅ…』


すずの口が、これでもかというくらい、さらに大きくなって、顔が真っ赤だ。


『あぁ、来てたんだな。ごめんな』


と俺はあまりのすずの驚きぶりにちょっと戸惑って、リビングから出ていった。


リビングの向こうからは、すずの
『きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』
という悲鳴と、
母さんの
『すずちゃん!?びっくりさせてごめんね!!』
という慌てた声が聞こえてきた。