あと少しでうちに着くというところで、剣人のうちから誰かが出てくるのに気づいた。


剣人だったらどうしよう。


私は隠れる場所がないかとおろおろする。


『すずちゃん?』


と声がして、よく見ると、暁人兄ちゃんだった。


『暁人兄ちゃん!帰ってきてたの?』

私が駆け寄ると、

『うん、すずちゃんの高校、明後日、文化祭だろ。俺、一応高2まで通ってたし、まなみと行こうかな、って帰ってきた。』

と笑う。


その笑顔は少し剣人に似ていて…


『えっ、すずちゃん、どしたの?』


私は堪えきれずに泣いてしまった。