アパートへ帰ると、ハンナが居た。元気の無い顔で。
「どうしたハンナ?」
「お兄ちゃん、相談があるの。朱美のことで。」
「朱美、どうかしたの?」
「ちょっとね。ここでは言えない。」
 尋常な事情では無いなと感じ、僕はじっくり話を聞くことにした。
「ハンナと会うのも久しぶりだよな。飲み会以来だもんな。元気にしてんのか。」
「ハンナは元気よ。元気。…でも、朱美がね、」
「ああ、朱美、どうしたの。」
「飲み会の後も、しばらく、元気だった。いつもみたいに。明るく、はしゃいでた。けど、前から、少し朱美は、心が不安定なところがあって、」
「薬飲んだりもしてたの?」
「うん。少しよ。」
「ハンナは?飲んでんの?」
「ううん、ハンナは飲んでない。」
「そっか。」
 僕は安心した。
「ハンナの事は大丈夫。大変は、朱美ね。」
「ああ、ごめんごめん。」