ハンナの足跡

 西島の部屋を出た後、駅ビルの2階にある店でコーヒーを飲みながら待つことにした。客が忘れていった雑誌に目を通したりしたが、内容はよく覚えていない。階下を歩く人を眺めながら過ごした。あまり考え過ぎないように、頭に霧が掛かるように努めた。考えすぎるのは僕の悪い癖だ。僕は植物のように唯じっと外を眺めた。