ハンナの足跡

 仕事が終わると、僕は急いでハンナ達の部屋へ向かった。
 部屋のドアはいつものように開け放たれている。普段は女三人のはしゃぐ声が聞こえてくるのに、今日は静かだ。僕は部屋を覗き込んで、声を掛けた。
「朋子、入るよ。」
 部屋の中は、薄暗かった。
「あんた。よかった、来てくれると思ってたの。」
 朋子が僕を見つけて駆け寄ってきた。
「どう?ハンナの具合は。」
「それがさ、ハンナ、帰ってきてから、吐いちゃって。」
「やっぱり風邪かな。」
「そうねえ。でも、熱は無いみたいなのよ。気分が悪いのと、身体がだるいっていうから、軽い風邪の症状だと思うんだけど。…最近、あの子、忙しかったから、疲れが出たのかもしれないわね。」
「今は寝てるの?」
「うん。よく寝てる。朱美も、ハンナの面倒、付きっ切りで見てくれて。ハンナが眠ったのにホッとしたのか、ぐっすり寝てるわ。」