「夏葵っ!」 誰かが不意にあたしを呼んだ。 その声は、後ろから聞こえた。 (もう遅刻しちゃうじゃない!) そう思いながらも、声のする方を振り返った。 すると、 「夏葵、乗れよ。このまま走っても遅刻すんぞ?」 「あっ、龍樹!おはよっ。いいの?」 幼馴染の龍樹が、自転車であたしの前に来た。