「えへへ、瑞穂にだけは言っておこうと思って!」

 そう、親友から言葉にされたとき、私の目の前は真っ暗になった。

 西木 紀香(にしき のりか)は、苛められ体質で声の小さい私に対して、いつも優しくしてくれた一人の友人だ。

 もちろん、付き合いも長い。
 お揃いのキーホルダーとか持っている。
 家も近いので、よく遊んだりした。

 紀香は性格も顔もすごく可愛いから、モテる。
 男子にも人気のあるような子で……。

 そんなことを鼻にもかけず、すぐに友達離れを起こす私にも気さくに接してくれる。

 本当に、やさしい子だった。

 大好きで、大好きで。

 だから、二人が恋人同士だって知ったときも、喜んだふりが、私は、うまくできていたと、思っていた。

「だから、瑞穂は、泉井君のこと、好きになっちゃだめだからね!」

「う、うん」