とりあえず。






「ねえ」


背後から声がして、
背中を突つかれました。


内心どきどきしながら振り向くと、
赤茶色の髪をした女の子。

頬杖をついてこちらを見ています。


「稲葉さん?」


「あ…はい」


「名前なんて読むの?」


よくある質問です。

だいたいの人はわたしの名前が
読めないので初対面では恒例のこの質問。


「あめ」


“雨芽”と書いて「あめ」。

現代でよくある、
キラキラネームというやつです。


「あめちゃん?めっちゃ可愛いね」


赤茶髪の女の子は真顔で言いました。

そんなぴくりともしない顔で
可愛いと言われたのははじめてです。


「よくゆわれる」


苦笑しながら答えると、


「あたし名前つまんないから羨ましい。
ちなみに遠藤みのりです」


「み、遠藤さん」


「みのりでいいよ。よろしくね」


「……みのりさん。よろしくどうぞ」



こんなかんじでできた、
はじめてのお友達。


也季と出逢うきっかけをくれた
大切なお友達です。