とりあえず。




「……売り場、戻らなきゃ」


迷惑をかけたばかりで戻りにくいですが
溝端さんを一目見れて充電完了です。

わたしは従業員通用口に向かって
大きく一歩踏み出しました。


気を取り直して、お仕事です。





*******************



〜〜〜♪♫♩


「はい」

『あ、なにしてんの?』


電話が鳴り、出ると也季でした。



「仕事帰り」

『あ、まじ?あのさ、いま地元で
飲んでるんだけどこれる?』


電話の向こうの喧騒と也季の言葉に
思わず顔をしかめてしまいました。


疲れているし、明日も仕事だし……。

よりによって今日は適当な服を
着てきてしまったし。

だいたい、也季の地元の人たちがいる
飲み会なんて行きたくありません。

絶対に終電でなんか帰らせて
もらえないこと確実です。


「ごめん、わたし明日も仕事だし」


なるべく低い声を出して答えましたが、
お酒が入って気が大きくなっている彼。

案の定、言い返してきました。


『いやおれも明日バイトだし。
煌多も仕事あるし。一緒じゃん』

「…それは知らないけど、わたし今日は
早く寝たいの。明日早めに出勤したいし」

『終電で帰ればいいじゃん』

「煌多くんたちと飲みに行って
終電乗れたことないもん」

『そこはおれが言っとくから。
ノリ悪りいな。こいって』

「ごめんノリ悪いとかじゃなくて
わたしは明日に備えて早く寝たいって
言ってるのね。わたし間違ってる?」

『だから終電で帰ればいいじゃんって。
何回言わせんだよ。頭悪りいな』

「…………………」