「電車行っちゃうよ!」


駅までの道を猛ダッシュして行く。

歩の準備が遅いせいで・・・
高校初日、最悪だ。


「おせーぞ!愛梨!」

あんたねぇ・・・。

「お、遅いって、あんたのせいでこうなったんでしょうが!!」


履きなれていない新品のローファーで
運動音痴の私の走りは
余計に遅くなっていた。


「ったくしょうがねーなぁ。」


歩はグイッと私の腕を掴んで
走りだした。

「んえ!?ち、ちょっと!」


歩は聞こえていないのか
無視をしてるのかわからないけれど

夢中に前だけをみて走っていて

あぁ、歩の手、また大きくなったな

とか

背中大きいな

とか

顔真っ赤なのバレてないかな

とか

私だけがドキドキしてて悔しかった。


私は中学生の頃からずっと

歩が好きだ。