学校が終わるとそのまま歩がいる
病院に向かった。
タタンタタン・・・
思ったより自分は歩に依存してる
電車の中、1人でみる夕焼けの景色が
電車の窓枠で絵画のようだった。
こんなにも歩がいないとつまらないのか
楽しいことも
嬉しいことも
きれいなことも・・・
全部霞んで見える。
病院につくと、お医者さんのいる部屋から
歩のお母さんとお父さんがでてきたところだった。
「あ、こんにちは!
おばさん、おじさん!」
「あら、愛梨ちゃん・・・」
「歩、具合どう?」
「・・・元気よ、元気なんだけど・・・」
「?」
2人は何か言いたげだったけれど
私の中では歩に早く会いたいって気持ちの方が勝っていた。
「まぁ、とりあえず会ってくるね!
207号室だよね?んじゃ!」
「あ、ちょっと、愛梨ちゃん!」
おばさんの呼び止める声も
耳に入ることはなく
歩の病室に着いた。
ドアの横の207の数字の下にある
『大内歩』の
ネームプレートをみる。
どうやら、この号室は歩だけらしい。
「歩ー!お見舞いに来たよ!」
他の患者に迷惑がかからない分
大きな声で言った。
なのに・・・
「・・・誰?」
小さな声で呟かれた言葉は
私の耳にしっかりと届いた。
誰って・・・?
歩?どうしたの?


