『脱出?』

惚けたように、依頼主は言う。

「そうだ脱出だ。ゴーストを仕留めたはいいが、既に警備の兵士達に感付かれてしまっている。完全に包囲されているんだ。迎えのヘリなんぞは期待しちゃいないが、ルートくらいは調べてあるんだろう?」

『さて…』

嘲笑うような色が窺える、依頼主の声。

『君は亡霊なのだろう?消えてしまえばいいのではないか?神出鬼没が、亡霊の専売特許だろう?』

「ふざけていないで、さっさと…!」

『ふざけてなどいない』

依頼主は突き放した物言いだった。

『君との契約はここまでだ』