「なぁ、お前はこれで足りるのか?」
ふと箸を止めた先生が聞いてくれたのもそのはず。
私も先生と同じお粥を食べている。
量もほぼ同じ。足りるわけがない。
朝、病院で軽く食事をしただけなのだから。
先生は食欲がないが、私の体調はすこぶる健康。
さっきからお腹の音が鳴らないように我慢するのに必死なんだ。
「まぁ、何か買って食べますよ」
この人に嘘をついて「大丈夫ですよ」と言っても無駄だと感じたので、正直に申告しておいた。
「そっか」
そう頷く表情が少し寂しく見えたのも、体調の悪さによるものだと思ったが、そうではないとわかったのは先のことだった。

