White Magic ~俺様ドクターの魔法~

「ごめん、きたなくて」


「本当に・・・もっときっちりしてるのかと思いました」



少し怒った振りをしながら言うと、溜息を付きながら俯いてしまった。


「片付けもできない奴、嫌やんな」



明らかにへこんでいる口調で言う先生の姿がかわいくて思わず笑ってしまった。


「別に気にしませんよ。私、掃除は好きな方ですから」


その言葉に顔を上げ、「優しいな」と言われ慣れていない言葉を言われ、照れくさくてごまかした。



「あの・・・この本はどこに持っていったらいいですか?」


10冊ほどの医学書を手に聞くと「大丈夫か?」と気に掛けてくれながら、ふらつく足元で隣の部屋に案内された。



「先に謝っておく。こっちもちらかってるんや」


頭の後ろを掻きながら、ばつが悪そうに言う姿を見て、「想像はできます」と笑って言った。


ドアを開けると、少々荒れている部屋があった。


ベッドの上には、布団が乱れており、奥にある机の上に書類や本が積み上げられていた。


「この本棚に置いてくれる?」


彼が立った本棚には、何十冊もの本が並んでいた。


いや、百冊以上あるだろうか・・・。


ほとんどが医学書と車関連の本のようだった。



「はい」



ほこりのかぶった本棚を見て、「また掃除しないとな」と思ってしまう自分に驚いた。


数回、リビングと寝室を往復するとようやく本類は片付いていた。


散らかっているように見えたのは、本が散らかっていたためで、その他に食べ残しや衣類などがな方ので助かった。


片付けている間にご飯が炊きあがり、この家に唯一の鍋でお粥を作り始めた。


もちろん先生はソファに座らせて。



たまに、咳をしているのを見ると、やはり病人なんだと気付く。