******
「いらっしゃいませ」
前回来た時と同じように店員さんは、丁寧に迎えてくれた。
変わっていたのか、制服が黒が基調の冬物から生地が少し薄くなっていて、色も薄いピンクで明るい印象となっていた。
前の制服もこの店のイメージと合っていたが、この制服もとても合っている。
ふたりでメニューを見て、これがいいのだの、これは前食べただの言って、注文を決めた。
「なぁ・・・」
瞬さんが話出そうとした時に、ふと視線が上がり、眉をひそめた。
どうしたの?と聞こうとした瞬間、「いらっしゃい」と明るい声が聞こえた。
私たちのテーブルに現れたのは、雄哉さんで、彼が現れたことで瞬さんの機嫌が一気に悪くなった。
「何しに来た?」
頬杖をついて、下から睨む目は「早く行け」と言っているようだった。
「何しに来たって、俺の店に来てよう言うわ」
笑いながら言う、雄哉さんは、瞬さんの扱いをよくわかっているみたいだ。
そして、怒っている瞬さんを無視して私に話しかける。
「睦美ちゃんだったよね?」
「はい」
「付き合ってるの?」
・・・・・・答えていいの?
瞬さんの方を見て助けを求めるが、窓の方を向いてまだ怒っているようだった。
「いや・・・その・・・」
「じゃぁ、俺と付き合ってくれへん?」
「えっ?」と声を出そうとするのより先に瞬さんが口を開いた。
窓へむけられていた視線は雄哉さんへと向けられた。

