「寒いやろ?」
隣にいる私に気遣ってくれ、声を掛けてくれた彼の想いが暖かかった。
「大丈夫」
空には雲ひとつなく、星が輝いていた。
そのひとつひとつが自ら何かを訴えるように光を放っているのが眩しいくらいだった。
「ばあちゃん、ありがとう」
そう言って、頭を下げると、最後に空を見上げた。
「じゃぁ、俺、行ってくる。睦美送るよ」
中に入るとすぐ寝室に入ったかと思うと、喪服を片手に出てきた。
「ごめんな。ゆっくりできなくて」
「気にしないでください」
彼は私の頭をなでると、そっとキスをした。
重なった唇は、とても暖かくて、生きている証を感じた。

